採用面接の雑談で、学生から「御社のロゴには、どんな意味があるんですか」と聞かれ、面接官の誰も答えられずに沈黙が流れる場面があります。
創業時に決めたきりのロゴは、意味を知っていた人が会社を離れると、由来ごと消えてしまっていることも珍しくありません。
その日の夜、面接に同席していた総務兼広報の担当者は、社内チャットに「そろそろ、うちのロゴを見直したほうがいいのかもしれません」と一行だけ書き込みました。
ここでは、そこから始まる企業ロゴ作成の流れを、迷い、意見の衝突、依頼、切り替えという場面ごとにたどっていきます。
「古い気がする」の正体を、言葉にしてみる
担当者が最初にやったのは、デザインを探すことではなく、何が引っかかっているのかを書き出すことでした。
書き出してみると、ロゴの意味を誰も語れないこと、名刺では映えるのに展示会の大きなパネルでは細い線が滲むこと、事業の中身が変わったのにロゴだけが創業当時のままであることが並びました。
「古い」という一言の中には、性質の違う原因が混ざっていることがあります。
意味が語れないのは由来が引き継がれていないためで、滲むのは大きさや色の決まりごとがないため、会社の今と合わないのは事業が動いたためです。
同じ「古い」でも、原因が違えば必要な手当ても変わります。
違和感はあるのに、何がどう違うのかを自分でも説明しきれない状態が、続いている方もいるかもしれません。
ロゴは、求職者や取引先が会社を知る入口で目にする、会社の顔のような存在です。
だからこそ、意味と由来を作り直したいのか、使い方の決まりごとを整えたいのか、会社の今を映し直したいのかで、依頼の中身が変わります。
書き出したメモは、そのまま最初の依頼文の下書きにもなります。
自作か、外注か。会議で意見が割れた日
翌週の会議では、意見が三方向に割れました。
経理の部長は、いまの時代はツールで十分で、費用をかける理由が見当たらないと話します。
営業の課長は、見栄えより先に、次の展示会に間に合うかどうかが気になると言います。
入社二年目の若手は、外の人に見てもらわないと、社内の人間には見えないものがあるのではないかと口にしました。
どの意見にも、もっともな面があります。
ツールは手軽で費用を抑えられますが、他社と似た雰囲気になりやすく、権利の扱いも確認が欠かせません。
スピードは大切でも、急ぐほど、使う場面を想定した設計が後回しになります。
若手の指摘は、外注の価値をそのまま言い当てていて、見慣れた社内の目線から離れ、第三者に会社の強みを問い直してもらえる点にあります。
外注の価値は、外側の視点、使う場面を見据えた設計、権利の明確化、担当者が本業に時間を回せることにあります。
ただし、頼めば会社らしさが自動的に出てくるわけではありません。
会社の考えが伝わらなければ、腕のよい人でも、どこかで見たような案になりやすくなります。
外注が力を発揮するのは、会社が何を大切にしているかを、ある程度言葉にできているときです。
この日の会議は、結論が出ないまま終わりました。
決めきれないとき、社外の人に話してみるという手
結論が出ないまま数日が過ぎると、担当者は、社内の意見を全部受け止めきれなくなってきます。
誰の意見も間違っていないので、かえって選べなくなるからです。
そんなとき、ココナラのようなプラットフォームで、ブランディングや広報に詳しい人に、状況をそのまま話してみる方法があります。
「自作、ツール、外注のどれが、うちの規模に合うのか」という、まだ形になっていない迷いを聞いてもらい、論点を切り分けて並べ直してもらう使い方です。
社内では立場が邪魔をして言い出しにくいことも、利害のない第三者になら話しやすいことがあります。
もちろん、相談先の得意分野は人によって違うため、実績や説明文を先に読んでおくと安心です。
ここでの相談は、外注を決めるためではなく、迷いの中身を見えるようにするためのものです。
話し終えたあとに、外注が必要かどうかの答えが自分の中で少し動いたなら、それで十分に役目を果たしています。
社内の誰にも言えていない迷いは、ありませんか。
外注を決めてから、実際に動いた最初の数日
外注に決めた担当者が、依頼先を探す前にやったことは、社内に配る一枚の紙を作ることでした。
書いたのは、このロゴに何を担わせたいのか、誰に見せたいのか、どこで使うのかの三点です。
この紙を決裁者に見せて意見をもらい、その内容を依頼先への説明資料にも使いました。
案が出たあとで、決裁者から別の方向の意見が出て、最初からやり直しになる流れを避けるためです。
依頼先の選定では、作例の雰囲気が自分たちの方向に近いか、料金に含まれる範囲が明記されているか、質問への返信が丁寧かを見ます。
料金の安さだけで決めると、修正回数や利用範囲が後から足りなくなることがあります。
先に依頼先を選んで、目的はあとから考える進め方も、実際には少なくありません。
その場合、依頼先の得意な方向に、会社の考えが引っ張られやすくなります。
手順の中でいちばん時間をかけたいのは、デザインを見る前の、目的を決める段階です。
案が届いた日と、切り替えの落とし穴
届いた案は、好みで決める前に、小さく表示して読めるか、白黒でも成り立つかを確かめます。
納品では、使う形式のデータと使い方の決まりごとを受け取っておくと、誰が使っても統一感が保てます。
完成した勢いのまま、名刺も看板も封筒も一斉に切り替えようとして、費用と手間が膨らんでしまう会社があります。
ロゴが使われている場所は、契約書の書式やメールの署名まで含めると、思った以上に多いからです。
外から目に入りやすい場所から順に切り替え、時期は依頼の段階から相談しておくと、社内の負担が軽くなります。
ここまでの流れで、外注するかどうかを決める軸は、会社の考えを言葉にできているか、外側の視点が必要か、ロゴを使う場面が広がっているかの三点に絞れます。
企業ロゴ作成を外注するかどうかは、会社の考えを言葉にできているか、外側の視点を必要としているか、ロゴを使う場面が広がっているかで判断できます。このうち一つでも当てはまるなら、依頼先を探し始める価値があります。
企業ロゴ作成の何が引っかかっているのか、自分でもはっきり言えないときは、悩みが解決しない原因そのものを見つめ直すところから始めるのも、ひとつの方法です。