週末の完成見学会に向けたチラシの校正紙を広げたとき、外観写真はおしゃれに仕上がっているのに、裏面の住宅案内図だけがどこか垢抜けず、紙面の中で浮いて見えることはありませんか。
PowerPointやCanvaで道路と目印を並べてみたものの、線を太くすると野暮ったく、細くすると読みにくくなり、何度直してもしっくりこないという声は、工務店や不動産会社の担当の方からよく聞かれます。
新居に友人を招く案内状の地図を自作しようとして、同じところでつまずく方もいるかもしれません。
この記事では、住宅案内図作成を外注するときに押さえたいテクニックを、よくある4つの疑問に答える形で紹介します。
住宅案内図は、道順を伝えるだけの図ではなく、家の魅力を伝える紙面の一部でもあります。
Q1. おしゃれにすると、分かりにくくなりませんか?
情報を減らす方向で整えれば、おしゃれさと分かりやすさは十分に両立できます。
見やすい地図も洗練された地図も、じつは「何を描かないか」を決めるところは共通しているからです。
とはいえ、垢抜けない印象を変えたくて、イラストや飾り枠を足したくなる気持ちもよくわかります。
おしゃれに見える住宅案内図の多くは、描き足したものより、あえて省いたものの選び方が上手です。
たとえば、駅から現地までの道のりのうち、曲がる交差点以外の脇道は思い切って省き、色も道路・目印・現地の3色程度に絞ります。
現地の印だけを物件の外壁や玄関ドアの色に合わせたアクセントカラーにすると、チラシ全体との統一感も出やすくなります。
反対に、手書き風のフォントで交差点名を入れたら小さな文字が読めなかった、木や家のイラストを散りばめたら肝心の現地が埋もれた、という失敗はよく見られます。
判断の目安は、チラシを腕を伸ばした距離で持ち、3秒ほどで現地の位置が目に入るかどうかです。
今の住宅案内図には、省けるものがどれくらい残っているでしょうか。
Q2. 自分で作ると、どこで行き詰まるのでしょうか?
自作で行き詰まりやすいのは、道路を描く作業そのものではなく、実際の地図をどこまで崩して描くかという判断の部分です。
駅から徒歩15分の分譲地を実際の縮尺どおりに描くと、現地がチラシの端に追いやられ、途中の目印も小さくなってしまいます。
プロの住宅案内図作成では、途中の長い直線道路を短く縮め、曲がり角の周辺だけを大きく描くといったデフォルメが当たり前のように使われています。
この崩し方の加減は、ツールの操作に慣れても身につきにくい部分です。
CanvaやPowerPointのテンプレートを使えば手早く形にはなりますが、同じテンプレートを使うほかの会社のチラシと雰囲気が似てしまうことも少なくありません。
地図アプリの画面をそのまま貼り付けて、印刷したら文字が潰れて読めなかった、というのもよくある行き詰まり方です。
自分でもできそうに見えるぶん、つい何度も手直しを重ねてしまいますよね。
ひとつの判断材料として、作り直しに合計で3時間以上かけてもしっくりこないなら、そこが自作の限界に近づいているサインかもしれません。
その3時間を見学会の集客や接客の準備に回せたとしたら、どうでしょうか。
Q3. 「おしゃれに」は、どう伝えればいいですか?
「おしゃれに」という言葉は人によって思い浮かべるものがまったく違うため、言葉よりも参考画像で伝えるほうが確実です。
好きな雰囲気のチラシや地図を3枚ほど、避けたい雰囲気のものを1枚そろえるだけで、デザイナーとのずれは大きく減ります。
あわせて、物件のコンセプトや外壁・建具の色、来場してほしい層を伝えておくと、方向性が定まりやすくなります。
「おしゃれな感じで」とだけ伝えた結果、カフェのメニューのような細い手書き風の地図が上がってきて、年配のお客様から読みにくいと言われた、という失敗もあります。
自分の中にイメージはあるのに、それを言葉にできないもどかしさを感じる方は多いのではないでしょうか。
こうしたとき、ココナラなどで住宅案内図作成を受けているデザイナーに相談すると、やり取りそのものが好みを言葉にする助けになることがあります。
「ナチュラルといっても、木の温かみに寄せるのか、白を基調にした軽やかさに寄せるのか」といった質問を重ねてもらううちに、自分でもはっきりしていなかった方向性が見えてくるからです。
社内で相談すると上司や同僚の好みに引っ張られて話がまとまらないこともありますが、第三者のプロなら物件と来場者の側から意見をくれます。
曖昧なイメージのまま相談しても構わないと思えるだけで、依頼へのハードルはずいぶん下がるはずです。
手元に、好きだと思えるチラシは何枚くらい残っているでしょうか。
Q4. 住宅案内図に載せてはいけない情報はありますか?
見落とされがちですが、住宅案内図にどこまでの情報を載せるかは、デザインより先に決めておきたいところです。
とくに施主様の家をお借りする完成見学会では、番地まで入った住宅案内図を折込チラシで広く配ると、引き渡し後もその住所が多くの人の手元に残ります。
会社のサイトやSNSに載せた場合は、見学会が終わっても検索で見つかり続けることもあります。
よく使われるのは、チラシには周辺の目印と大まかな位置までを載せ、詳しい住宅案内図は予約された方にだけメールで送るという分け方です。
駐車場の扱いも同じくらい大切で、来場者用の駐車場の位置を描いていなかったために、近隣のお店や月極駐車場に車を停められてしまった、というトラブルも起こりえます。
新居に友人を招く案内状でも、受け取った人が地図の画像をSNSに投稿する可能性はゼロではありません。
地図の見た目に意識が向いているときほど、この確認は抜けやすいものです。
今回の住宅案内図は、誰の手元まで届く想定になっているでしょうか。
外注先を選ぶときに持っておきたい3つの判断軸
ここまでの疑問を踏まえると、外注先を選ぶときの軸は3つに絞れます。
1つ目は、住宅や分譲地の住宅案内図作成の制作例があるかどうかです。
街並みの描き方や現地の見せ方に慣れている人ほど、物件の魅力と道順を一枚の中で両立させるのが上手な傾向があります。
2つ目は、次の見学会でも使い回せる形で納品してもらえるかどうかです。
工務店や不動産会社であれば、見学会は一度きりではなく、物件ごとに住宅案内図が必要になります。
周辺の道路や目印はそのままに、現地の位置だけを差し替えられる編集用データまで受け取れるかは、1回あたりの費用以上に差がつく判断軸です。
費用は内容によって幅がありますが、個人のデザイナーであれば数千円から数万円程度で受けているケースが多く、編集用データの受け渡しを含むかどうかで金額が変わることもあります。
3つ目は、納期に余裕を持って進められるかどうかです。
折込チラシに載せるなら、配布日から印刷と入稿の日数を逆算し、目安として2〜3週間前には住宅案内図を確定させておきたいところです。
ココナラのようなサービスなら、制作例やプロフィール、納期の目安を見比べながら、この3つの軸に合う人を探しやすくなります。
制作例、使い回しのしやすさ、納期の3つを手元の候補に当てはめてみると、どこに頼むべきかは自然と見えてくるはずです。
おしゃれで分かりやすい住宅案内図は、センスのある人に任せきりにするより、基準を持って相手を選ぶことで近づいていきます。
住宅案内図作成を外注するときは、住宅の制作例があるか、次の見学会でも使い回せるデータで受け取れるか、配布日から逆算した納期に間に合うかの3つを軸にすると、候補を比べるときに迷いにくくなります。
自分で作ってみて行き詰まった経験を、もう少し別の角度から見つめたい方には、こちらの記事も参考になるかもしれません。