ランチの仕込みで手がふさがっているときに限って、お店の電話が鳴ることがあります。
出てみると「駅から歩いてきたんですけど、今コンビニの前にいて、どっちに行けばいいですか」という声。
口で道順を説明しながら、ホームページに載せている店舗地図では伝わっていなかったのかと、少し引っかかった経験がある方もいるのではないでしょうか。
電話をくれるお客さんはまだ親切なほうで、見つけられずにそのまま別のお店に入ってしまう人もいるかもしれません。
この記事では、集客につながる店舗地図を人に作成してもらうまでの流れを、5つのステップに分けてお伝えします。
ステップ1:お客さんが迷う「最後の数十メートル」を書き出す
集客につながる店舗地図は、駅からの道のり全体よりも、お店の近くまで来た人が迷う最後の数十メートルをどう描くかで決まります。
スマートフォンの地図アプリがあれば、多くの人は近くまではたどり着けます。
ところが地図アプリのピンは、建物の位置は示してくれても、入口が裏通り側にあることや、お店がビルの3階にあることまでは教えてくれません。
迷いやすさは、お店の立地によってかなり違います。
路面店なら看板が見えれば済みますが、雑居ビルの上の階や地下、商業施設の奥まった区画、住宅街の一角にある自宅サロンなどは、目の前まで来ているのに見つからないという事態が起こりがちです。
これまでにお客さんから受けた道案内の電話や、「迷いました」と言われた場所を、思い出せる限り紙に書き出してみるところから始めると、地図で描くべき場所がはっきりしてきます。
書き出しておきたい迷いポイントの例
お客さんが「今ここにいる」と電話してきた場所
入口が分かりにくい建物の面や、階段・エレベーターの位置
似た名前のお店や、紛らわしい曲がり角
毎日通っている道ほど、迷う理由は見えにくいものですよね。
これまでの電話の中に、どんなヒントが隠れていたでしょうか。
ステップ2:店舗地図が見られる場面を決める
迷いポイントが見えたら、その店舗地図がどこで見られるのかを決めます。
同じ地図でも、ホームページで大きく表示されるのか、ショップカードの裏に小さく刷られるのか、インスタグラムの投稿で指先で拡大されながら見られるのかで、適した形がまったく変わるからです。
たとえばインスタグラムの投稿は正方形や縦長の画像が中心なので、ホームページ用に作った横長の地図をそのまま載せると、縮小されて文字がほとんど読めなくなってしまいます。
ショップカードのような小さな紙面では、道の数を減らし、目印を2つか3つに絞らないと、かえって迷わせる地図になりかねません。
使う場面を最初に2つか3つ決めておき、縦長と横長など必要なサイズを伝えてから依頼すると、あとから作り直す手間も費用も抑えられます。
一枚の地図をあらゆる場面で使い回したくなる気持ちは自然なものです。ただ、見る場所に合っていない地図は、載せていないのとほとんど変わらないこともあります。
あなたのお店のお客さんは、来店前にどこでお店の情報を見ていることが多いでしょうか。
ステップ3:目印と入口の写真をそろえる
作成を頼む前にそろえておきたいのが、目印になる建物の情報と、お店の入口まわりの写真です。
地図だけでは伝えきれない最後の数十メートルも、写真を添えると一気に伝わりやすくなります。
ビルの入口、エレベーターホール、階段の上り口など、お客さんが実際に目にする景色をお客さんの目の高さで撮っておくと、地図と組み合わせたときの伝わり方がまるで違ってきます。
目印選びで気をつけたいのは、お店側が思う目印と、お客さんが気づく目印が一致しないことです。
店主にとっては見慣れた老舗の和菓子屋でも、初めて来た人には小さな看板にしか見えず、目印として働かないことがあります。
反対に、チェーンのコンビニや銀行、名前のついた大きな交差点のように、初めての人でも見つけやすいものを選ぶと、地図を見る時間が短くても迷いにくくなります。
下地にする地図については、ほかの地図サービスの画面をそのまま切り取って使うと、利用規約の上で問題になる場合があります。
写真と目印の情報をそろえて渡し、下地の扱いは依頼先に確認しておくと安心です。
写真を撮りに外へ出てみると、普段は気にしていなかった見落としに気づくこともあるかもしれません。
ステップ4:依頼して、複数の案を並べて選ぶ
材料がそろったら、いよいよ作成を依頼します。
店舗地図の作成を人に頼むと聞くと、全部を丸投げするようで気が引ける方もいるかもしれませんが、ここまでの3ステップで集めた情報はお店の人にしか用意できないものです。
お店側が迷いポイントと使う場面と材料を渡し、作る側が見せ方を考えるという分担なので、手を抜いていることにはなりません。
地図を描き慣れた人は、縮小しても潰れない線の太さや文字の大きさ、お店のロゴや看板の色と地図の色合いをそろえる工夫など、見る人の目に自然と入ってくる見せ方を心得ています。
自分で描こうとすると、どうしても道を正確に描くことに気を取られ、どこを目立たせるかまで手が回らなくなりがちです。
同じ情報でも強弱のつけ方ひとつで、店舗地図はお店の雰囲気まで伝える販促物に変わります。
頼むときにおすすめしたいのが、1案だけで決めずに、複数の案を並べて見比べることです。
ココナラのようなスキルシェアサービスで地図のデザインを出品している人の中には、方向性の違う案をいくつか出してもらえるプランを用意している人もいます。
イラスト調とシンプルな線画、写真を大きく入れた案と地図だけの案など、選択肢を並べてもらうと、自分のお店に合うのはどちらなのかが、説明を聞くよりずっと早く見えてきます。
一つの案だけを見て「なんとなく違う」と感じても、どこが違うのかは言葉にしにくいものですよね。
ステップ5:置いたあとに、本当に迷いが減ったか確かめる
店舗地図は、作って載せたら終わりではありません。
新しい地図に差し替えてから道案内の電話が減ったか、来店したお客さんに「迷いませんでしたか」と声をかけたときの反応が変わったかが、集客につながっているかを判断する手がかりになります。
差し替えから1か月ほどは、道を聞かれた回数とその場所をメモに残しておくと、次に直すべき箇所がはっきり見えてきます。
よくあるのが、ホームページの地図は新しくしたのに、Googleマップのお店の情報やショップカードの地図が古いまま残っているケースです。
入口の位置や営業時間の表記が媒体ごとに食い違っていると、それだけでお客さんを迷わせる原因になります。
地図を差し替えたタイミングで、お店の情報が載っている場所をひととおり見直しておくと、せっかくの店舗地図がきちんと働いてくれます。
迷わずにお店の扉を開けてくれるお客さんが増えたとき、その変化にどれくらい気づけそうでしょうか。
店舗地図は道順を示す紙ではなく、お客さんがお店に着くまでの最初の接客といえます。その接客の一部を人に頼ることは、手を抜くことではなく、お客さんへの気配りを一つ増やすことなのかもしれません。
人に頼むことに、どこか後ろめたさや丸投げのような感覚が残っているなら、こちらの記事で頼ることの意味を見つめ直してみるのもよさそうです。