社長に任された依頼が、経理のひと言で止まってしまう
小さな会社で総務を担当していると、「ココナラで新しいロゴを頼んでおいて」と気軽に任されることがありますよね。
出品ページを見比べて候補まで絞れたのに、経理から「相手は個人でしょう、源泉徴収はどうするの」と聞かれ、そこで手が止まってしまう。
税金の話になった途端、自分の判断で進めていいのか分からなくなるのは自然なことです。
しかも検索すると、出品者向けの確定申告の話や、別のサービスの仕組みの話が混ざって出てきます。
依頼する側が知りたいのは「うちの場合は必要なのか」と「必要ならどう進めるのか」の2点だけなのに、その答えにたどり着きにくいのです。
止まっている本当の理由は、デザインの好みではなく、手続きが見えないことへの不安だったりしませんか。
「ココナラが天引きしてくれる」と思っていると、あとで慌てます
よくある思い込みの一つが、仲介しているサービス側が源泉徴収まで済ませてくれる、というものです。
ココナラの公式ヘルプでは、取引は出品者と購入者の当事者間で行うもので、運営会社は当事者ではないため源泉徴収を行っていない、と説明されています。
つまり源泉徴収が必要な取引なら、税金を国に納めるのは依頼した会社自身です。
サービス側が源泉徴収票や支払調書を発行してくれるわけでもありません。
反対に、必要のない人まで身構えているケースもあります。
個人が趣味や私生活のために依頼する場合は、基本的に源泉徴収を気にする必要はありません。
また、従業員に給与を支払っていない個人事業主は源泉徴収義務者にあたらないため、デザイン料を払っても天引きは不要とされています。
「事業で使うのだから必ず必要」と考えて依頼をためらっていたなら、その心配はいらないかもしれません。
あなたの立場は、天引きをする側でしょうか、それとも関係のない側でしょうか。
必要かどうかは、3つの分かれ目で決まります
依頼する側が源泉徴収をするかどうかは、次の3点を順に確かめると見えてきます。
1つ目は、支払う側が源泉徴収義務者かどうかです。
法人であれば基本的に該当し、個人事業主でも従業員に給与を払っていれば該当します。
2つ目は、報酬の種類です。
対象になるのは、原稿料、デザイン料、講演料、翻訳料、写真の撮影料など、所得税法で決められた種類の報酬に限られます。
同じWeb制作でも、Webデザインは対象になり得る一方で、システム開発そのものは対象外とされるなど、依頼内容によって分かれることがあります。
3つ目は、出品者が個人か法人かです。
出品者が法人なら、こうした報酬に源泉徴収は原則として発生しません。
源泉徴収義務者が、対象となる種類の報酬を、個人の出品者に支払う。この3つがそろったときに、依頼する側の源泉徴収が必要になります。
税率は、1回の支払いが100万円以下の部分で10.21%、100万円を超える部分で20.42%とされています。
数万円のロゴ作成であれば、税額は数千円程度になることが多いでしょう。
判断に迷う依頼内容は、国税庁の「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」のページで確認するか、顧問税理士に一度聞いておくと、次の依頼から迷わなくなります。
自社の依頼がどこに当てはまるか、少し見えてきたでしょうか。
源泉徴収ありで依頼するときの進め方
法人として依頼する場合、ココナラには源泉徴収機能が用意されています。
利用できるのは、法人機能を利用していて請求書払いと源泉徴収機能の申請が承認された購入者が、個人または個人事業主として登録している出品者に、対象カテゴリの仕事を頼むときです。
さらに、見積り・カスタマイズの相談や公開依頼を通した取引が対象で、出品ページからそのまま購入した場合は対象になりません。
条件を満たすと依頼フォームに「源泉徴収をして支払う」のチェック欄が表示されるので、チェックを入れて送信します。
出品者から届く提案には、決済額に加えて源泉徴収税額と総契約額が表示されます。
ここで押さえておきたいのは、総契約額が決済額に源泉徴収税額を足した金額だという点です。
会社が負担する総額は画面で決済する金額より税額の分だけ大きくなるため、社内の予算は総契約額で考えておくと食い違いが起きにくくなります。
ポイントやクーポンを使っても源泉徴収税額は変わらず、コインは支払いに使えない点も知っておくと安心です。
見落としやすいのが、出品者の情報です。
支払調書の作成には出品者の氏名や住所が必要になるため、公式ヘルプでは取引を始める前にトークルームやメッセージ機能で確認するよう案内されています。
見積り相談の最初の文面に「源泉徴収ありで依頼したいので、支払調書用に氏名とご住所を教えていただけますか」と添えておけば、取引の途中で聞きにくくなる事態を避けられます。
税金の話を最初に出すのは少し気が引けるかもしれませんが、早めに伝えるほど出品者も準備しやすくなるのではないでしょうか。
機能が使えない場面の避け方と、それでも向いている会社
正直なところ、源泉徴収が絡む依頼では、ココナラが手間のかからない選択肢とは言い切れない場面もあります。
法人機能の申請をしていなければ源泉徴収機能は使えませんし、出品ページから直接購入した取引も対象外です。
源泉徴収票や支払調書の作成、税金の納付は会社側で行う必要があり、取引のたびに出品者の情報を確認する手間もかかります。
年に何十件も個人へ発注する会社にとっては、この事務作業が負担に感じられることもあるでしょう。
避け方はいくつかあります。
公式ヘルプでは、機能が適用されていない取引でも、源泉徴収額を手計算して購入者が別途納税すれば問題ないと説明されています。
機能を使いたいなら、依頼の前に法人機能と源泉徴収機能の申請を済ませ、出品ページから直接購入せず見積り相談を通すようにすれば、税額が画面や請求書に表示されて経理とのやりとりが楽になります。
見積り相談の段階で出品者が個人か法人かを確かめておけば、源泉徴収が不要な相手かどうかも事前に分かります。
それでもこのサービスを使う価値は、小さな依頼を予算に合わせて個人のプロに直接頼める点にあります。
制作会社に相談するほどではないロゴ1点や記事数本でも、出品ページで実績や評価を見比べながら依頼先を選べます。
源泉徴収税額が提案画面やトークルーム、請求書に表示されるので、手計算の不安を抱えずに経理へ回せるのも助かるところです。
知人のデザイナーに頼むときのように、金額や税の扱いを口頭の約束で曖昧にしたまま進めずに済む点も、会社としては安心材料ではないでしょうか。
手続きの手間と、依頼で得られるものを並べたとき、あなたの会社にとってはどちらが重いでしょうか。
源泉徴収が必要かどうかは、支払う側の立場、報酬の種類、出品者が個人か法人かの3つで決まります。必要な取引でも、税金を納めるのは依頼した会社自身です。依頼したい内容が対象の報酬に当てはまるかを一度確かめ、見積り相談の最初の一文に源泉徴収の有無と氏名・住所の確認を添えるところから、一歩を決めてみませんか。
税金の不安で依頼そのものを止めてしまっているなら、悩む時間の使い方を見直すヒントがこちらにあります。